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No.15 低身長について

  • はじめに
 身長が低いことは時にご本人やご家族にとって悩みの種になることがあるようです。そこで今回は低身長についてお話をさせていただきます。低身長とは、ただ単に平均より身長が低いだけではありません。身長が同性同年齢小児の平均身長の− 2SD 以下であることを指します。(SD とは標準偏差;Standard Deviation の略で、平均からどれくらい離れているか、を表します。身長の場合は− 2SD、− 1SD、+ 1SD、+ 2SD という表現で評価されます。マイナス数値が大きくなるほど身長が低く、プラス数値が大きくなるほど身長が高くなります。図1 参照)

  低身長の中で最も多いものは、いろいろな検査をしてもはっきりした原因が見つからない体質的な低身長です。これは生まれつき身長が低いだけで病気ではありません。しかし、身長の伸び率が途中から低下してくる場合(=成長率の低下)は− 2SD 以内であっても病的な可能性が高いので精密検査を受ける必要があります。
  • 成長障害とは
 成長障害とは成長が阻害された状態で、一般的には身長が低い場合(低身長)だけでなく成長率の低下も含みます。低身長とは前述の通りですが、成長率の低下とは、1 年間の成長率が同性同年齢小児の平均成長率の− 1.5SD 以下である状態が2 年以上続くことを指します。
 
  • 成長障害をきたす疾患
@ホルモンの異常;成長ホルモンの不足、甲状腺ホルモンの不足など
A染色体の異常;ターナー症候群など
B小さく生まれたことが関係しているもの
C骨、軟骨の異常;軟骨無形成症など
D主要臓器の異常;心臓、腎臓、肝臓、腸の病気など
E心理社会的原因;愛情遮断症候群など
F病気とは考えにくいもの;体質性低身長、家族性低身長、思春期遅発症など
  • 低身長かな?と思ったら
 まずは小児科外来を受診してください。その時に、母子手帳やそれまでの身長の記録などがあれば持ってきてください。お母さんの妊娠歴、お子さんの出生歴や病歴、身体所見、これまでの身長の経過などから本当に低身長や成長障害があるかどうかを判断します。その時に図1 のような成長曲線と呼ばれる曲線を作成します。

  この成長曲線に身長をプロットすることで過去および今後の成長の様子を視覚的に評価することができます。すなわち、現在身長が標準範囲からどれくらい離れているか、身長がどのように推移しているか、今後どのように推移していくかを評価できます。
  次に成長障害があると判断された方や− 3SD 以下などのかなりの小柄な方には、血液検査や手のレントゲン写真をとり骨の年齢を計測したりします。その中で成長ホルモンの不足が疑われる方には、成長ホルモン分泌刺激試験(成長ホルモン分泌を促す薬剤を投与し、成長ホルモンがどの位分泌されるかをみる試験です)や頭部MRI、CT 検査、染色体検査などを行います。
 
 以上のような検査を行い、成長ホルモンの不足があると判定されたら成長ホルモンの補充療法を行います。しかし、低身長で来院される方のほとんどは前述のように体質的な低身長です。すなわち薬による治療法はありません。成長ホルモンを打てばいいのでは、と思われるかもしれませんが、こういった方に成長ホルモンを補充しても効果は認められていません。こういった方は、規則正しい生活、バランスのいい食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけていただくことが重要となります。しかし、成長率の低下が進むようなら再度検査が必要になることもあるため、身長の経過はみていった方がいいでしょう。
 
 以上のように低身長のほとんどは問題のないものです。そのため過度に心配することはありませんが、身長の伸びが悪い状態が続くようなら一度小児科を受診してみてください。

文=小児科医員 金谷 由宇子




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